できるとき、できないとき

「なんでできないんだ怒怒!!!!!!」 

何かを取得しようとしたときや、人に教えているときなどに、そう思ってしまうときってありませんか?
僕はいままさにその状態で非常に辛い思いをしています。

プロフィールにも書いてありますが僕はドラムが好きで、現在高速にペダルを踏めるよう練習している最中です。


上に動画を載せましたが、これはできているときに撮影したものですが、いまはもう出来ません。やり方を思い出せないのです。
少し昔の話で私は学生時代卓球に謹んでましたが、ドライブを打ってよく入るときと、全く入らないときがありました。

なぜ、できるときがあってもできないようにもなってしまうのでしょうか?
→そんなこと全くないぜ!という方がいましたら羨ましい限りです…

ということで、今回はできるときできないときと言った状態はなぜ発生してしまうのか、私たち人間(人間以外も)なら誰しも所有している「脳」に着目して仕組みを調べてみました。

小脳と大脳

「体を動かすための指令は脳から電気信号として筋肉に伝わり、筋肉が収縮することで体が動く。」
といったことは一度でも耳にした方はいるかと思います。

そもそもその指令を出す脳ってどういったもので構成されているのでしょうか?

脳の構造

種類 役割 補足
大脳 精神などの高度な機能:運動を命じる、記憶や情動、認知といった精神をなどの機能を司る 哺乳類(中でも人間)が発達している
小脳 運動機能:大脳から受けた運動の命令に対して、力の強さやバランスを調整する 鳥類が発達している
脳幹 生存本能機能:生命維持に関わる、意識、呼吸、循環器系を調整する

私たちの体を動かす際に、「運動しろ!」という指令が大脳で生成されます。
その指令は小脳を経由して体の筋肉に信号が送られるのですが、小脳では大脳の指令を調整するやくわりがあるそうです。

小脳には、プルキンエ細胞という細胞が約3000万個存在しているそうです。
一つのプルキンエ細胞はたくさんの軸索が伸びていて、シナプスを介して「平行線維」とつながっています。

ファイル:Cerebellum circuit figure1.png - 脳科学辞典

この細胞の一連の繋がりのことを「小脳回路」と呼ぶそうですが、私たちは小さいころから多くの動作を取得した結果が、この小脳回路に反映されているとのことです。

ぎこちない動き、洗練された動きとは?

ぎこちない動きとは?

運動する指令は大脳から送られ平行線維を経由して小脳に送り出されると説明しましたが、「動きがぎこちない」とはどう言った状態なのでしょうか?

動きがぎこちない状態とは、「一つのプルキンエ細胞」に対して複数の平行繊維から情報をもらっている状態で、運動指令の
伝道効率が悪い「小脳回路」を形成されている状態と言えるそうです。

大脳から指令を送っているけど、情報を送る道が多すぎることで、大脳で描いた情報が思うように筋肉に届かず結果として
「ぎこちない」といった動作に繋がるそうです。

洗練されるとは?

先ほど、「ぎこちない状態」とは「伝道効率の悪さ」と説明しましたがどうすれば伝道効率が上がるのでしょうか。

プルキンエ細胞には「登上線維」というものと繋がっているのですが、間違った運動をした!と感じた場合、
登上線維からエラー信号がプルキンエ細胞シナプスに送られ、エラー信号が送られたシナプスは「抑制」されます。

つまり、身に着けたい動作の動きを繰り返すことで、平行線維と繋がるシナプスの数が限られて「伝道効率」が上がることにより、動きが洗練されていくそうです。

このシナプスが抑制される現象を「長期抑制(Long Term Depression)」と呼ばれているのですが、一度シナプスが抑制されると、長期抑制のなのごとくシナプスはつながらない状態が維持されるそうです。

例えば、一度乗れるようになった自転車を、久々に乗ったとしても「全く乗れなくなってしまった!」ということはありませんよね?

一度体で覚えた運動パターンは、長期抑制によって脳で永久保存されるためどんなにブランクがあってもできなくなることはありません。


小さい頃に自転車の練習をする中で、小脳の登上繊維がエラー信号をたくさん出してシナプスの繋がりを効率化してくれたおかげで私たちは今でも自転車に乗れているのです。

自分で指示したわけでもないのに、間違った!というエラー信号を必要なタイミングで出してくれるってほんと凄いです。

大事なこと、定着するまで繰り返す!

脳は一度定着できたことを忘れることはないのですが、何度も繰り返すことでようやく定着するそうです。
また自転車の例ですが、一度乗れるようになったあとも何度も練習を繰り返すことで当たり前のように乗れるようになると思います。

筆者も「たまたま?」理想とするペダルの踏みかたを取得しましたが、できないときがあるということ小脳がその動作の仕方を完全に理解できていない状態なんだと思います。

「大人の「運動音痴」がみるみるよくなる本」によると、覚えるためには以下のようなことが必要とのことです。
①目的を持つ:意識することで、神経パターンの定着率アップ
②繰り返す:神経パターンを脳に定着させる
③行き詰まったら休む:繰り返しても効果がない場合は休むことも大事とのことです。寝ることは脳内で情報整理する時間でもあるとのこと
④上達を客観的に確認する:間違った動作を覚えてしまわないように、定期的に自分のフォームを振り返り修正する

今の自分は「筋肉の使い方」が分からなくなってしまっているので、④により改めてペダルの動作に必要な筋肉はどこか?別の記事を参考に施行錯誤しています。
→そこを紹介しないんかーい!という突っ込みはいったんなしの方向で笑

①-④のメリットは、また別途深堀してみたいと思います。

終わりに

思うように動作を取得できない場合は、やみくもに練習するのではなくどういった筋肉が登場人物として登場するのか常に確認したいですね。
いま筋トレのタスク管理アプリを作っていますが、追々はそういったことをサポートする機能も搭載したいです。

ふと思いだしましたが、
ジブリの魔女宅にてキキが箒に乗れなくなってしまった際に、ウルスラが「書くのをやめてほかのことをする!」
みたいな発言をしてました。

決して間違っていない発言ですし、自分も行き詰ったらウルスラの顔でも思い出して休憩してみようと思います。

参考図書

・大人の「運動音痴」がみるみるよくなる本(著者:深代千之)
・プロが教える脳のすべてがわかる本(著者:岩田誠)